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■特集■

「イナカナかれっじ」完結記念
 法田恵先生インタビュー 第2部

第2部では長年に渡り成年コミック界の人気作家であり続ける法田先生の漫画家人生についてのインタビューです。ファンでも初耳の事実があるかも!?


Text by 編集部(庭)

法田恵
(ほったけい)
ほのぼのとした作風で多くの支持を集める。メンズヤング11月号では読み切り作品を掲載予定。


専属アシと漫画家 二足のワラジ時代


「三人から始めよう!」全4巻(シュベール出版)

「こんすとらくたーず」全5巻(少年画報社)

編集 ここからは法田さんご自身のことについて質問させて下さい。デビューはいつだったのでしょう。

法田 80年代の後半に「PETITパンドラ」(※1)という雑誌でデビューしました。誰も知らないかな?

編集 かなり早いデビューですよね。

法田 でも大学は出てましたよ。出たばかりでしたけど。

編集 就職はされてなかったんですか。

法田 してなかったです。何とかマンガを描きたくて、それで近所のコンビニのバイトに申し込んだりしてたんです。そのコンビニから履歴書もって来るように言われた直後に、先輩から「PETITパンドラ」で空きが出来たから描かないかと言われまして。予定されてた漫画家さんが骨折したとかいう事で、詳細はよくわからなかったけど回り回って私の所に話がきたようです。

編集 それでデビューと。

法田 4月に描いて5月に載ったのかな。結局コンビニには行きませんでした。

編集 就職とかは考えなかったんでしょうか。

法田 まったく考えなかったですね(笑) あの頃はバブルの前で就職口は多かったんですけどね。だからあんないい加減な事が出来たのかも知れませんね。

編集 学生時代からアシスタントなどはされていたんですか。

法田 ええ、チョコチョコとやってました。先輩にくっついていったりして。デビューした頃はやってませんでしたけど。だからあの頃は無一文でした。その先輩から生活費借りたりしてましたね。

編集 ちなみにそのデビュー作ですが、私は読んだことないんですけど…単行本にも未収録ですよね。

法田 いやあ見られたモンじゃないです。話は独りよがりで絵も下手くそだし、勘弁して下さい。

編集 「PETITパンドラ」ではその後…。

法田 その一本だけですね。それを描いた後、やはり先輩の紹介でゆうきまさみさんのアシストタントに入ったんです。最初はヘルプのつもりだったんですけど、「来週からも来て」と言われまして、そのまま専属のアシになりました。

編集 マンガは描き続けるわけですよね。

法田 最初の一本を見てくれた遠山企画(※2)や一水社の方が声をかけてくれて、その後1年間くらいやってましたね。その後は色々な事情があって数年間アシスタントだけをしていました。

編集 ブランクがあったわけですね。

法田 それからしばらくして、遠山企画からも誘いがあったりしてまたマンガを描き始めました。その前に別の編プロからアドベンチャーブック(※3)の企画とかも受けたりしました。

編集 アドベンチャーブックですか。マンガで作ったんですか?

法田 ええマンガで。100何ページくらい描きました。脚本なんかもこっちで適当に作り替えたりして、あんまり上手く行きませんでしたけどね。

編集 その後は主に遠山企画さんでのお仕事が続くわけですね。

法田 まあ、メインの仕事はゆうきさんのアシだったんですけど。

編集 どんな雑誌で描かれていたか覚えてますか?

法田 えーと、うーん…「キャンディコミック」に「キャッツアイ」「コミックBEAT」「コミックSHAKE」「ロリタッチ」「コミックBABE」…あと「ホットパンツ」(※4)でしたっけ。他にもあるはず(笑) とにかく色々描きましたよね。月2本くらい描いていました。

編集 アシをやりなが月2本はなかなかな分量です。

法田 「あ〜る」や「パトレイバー」(※5)の頃は専属と言っても実働時間は短かったんです。若いスタッフだったので、短時間でガーッと仕上げて。1日徹夜するくらいだったんです。

編集 アシスタントはいつ頃まで続けていたのでしょうか。

法田 「パトレイバー」が終わる所までです。94年ですかね。その頃には毎月マンガの仕事をもらえていたので、まあ何とか食っていけるかなと思っていました。

編集 その後、リイド社の雑誌で描かれています。「三人から始めよう!」(※6)などはかなり巻数を重ねましたね。

法田 「JackPot」や「ボナンザ」…雑誌がなくなるまで描き続けました。

編集 さらに少年画報社で描かれています。最初に描いていたのは…。

法田 「アワーズ」(※7)ですね。人づてに話が来て、その後「ヤングキング」でも描いてます。

編集 「キングダム」では「こんすとらくたーず」をかなり長い間連載されていました。

法田 で、「ボナンザ」が休刊して「メンズヤング」で描くようになって…。

編集 その後「キングダム」も休刊して「キャンドール」(※8)で描かれています。特に営業活動もなく(※9)実に色々な所で描き続けられているというのは素直に凄いなと感じます。

法田 何となくですが描き続けられてるのというのは本当にありがたいことです。あの雑誌で描いていたあの人は今どうしているのかなあとか考えますよ。逆にすごい出世した方もいますよね。


原点は少女マンガ


記念すべき初単行本「放課後メイク・ラブ」(日本出版社)

編集 漫画家を志したのはいつ頃だったのでしょうか。

法田 中学生の時に従姉妹の家で「なかよし」(※10)を読んだんです。「キャンディキャンディ」が載っていた頃です。歳がバレバレですね。それはともかく、その「なかよし」に読み切り作品がたくさん載っていたんですが、それが面白かったんです。それから少女マンガに興味を持ちだして、今度は小学館が出していた「少女マンガ入門」という本を見つけたんです。それをパラパラと見ていたら、「少女コミック」(※11)の作品のカラーイラストがたくさん載っている訳ですが、その中に「これは面白そうだ」ってのがあったんですね。「つらいぜ!ボクちゃん」(※12)という作品なんですが、これを中身もよく知らないのに買ってきて読みました。で、すごく感動したんです。徹夜で読んで、感動で眠れないくらいでした。その時ですね「俺も絶対漫画家になる」って。

編集 少女マンガが出発点だったわけですね。

法田 そういうこともあって、昔からよく女性と間違えられるのかもしれません。実際は少女マンガを読みまくっていただけで、描くために特別な努力をしていたわけではないんですが。

編集 実際にご自分で描かれるようになったのはいつ頃なんですか。

法田 大学に入ってからですね。

編集 漫研(※13)に入られたんですよね。

法田 そうです。そこには既にプロとしてデビューしている先輩もいたりして。そういう人が身近にいるとですね、何となく「自分もなれるんじゃないかな」とか思うわけですよ。何の裏付けもない自信や、根拠もない確信なんですが(笑)

編集 いや、環境に恵まれたと思いましょう。

法田 それはその通りなんですけど、自分自身はかなり甘くものを考えていたと思いますけどね。

編集 他に影響を受けられたものなどは? やはり少女マンガの影響が大きいようですが。

法田 特にシリアスっぽいものを描く時はそうですかねえ。「いらかの波」(※14)なんかも影響された作品です。ゆうきさんの影響はあんまり受けてないのかな(笑)

編集 最近気になる作品とかはありますか。

法田 うーん、そういうのは難しいなあ。既に評価されている作品の名前を出すのも面白くないし…ということで「キャンドール」で描かれている、ふうたまろ(※15)さんの作品。ゆうきさんの所のアシ仲間ということで刺激を受けます。


新連載の構想は…?


これが法田先生作の鉄道模型。タイトルは「サカマチ軌道」。横幅約60センチ、奥行き約45センチ。
※クリックすると拡大表示されます

編集 ここ10年くらいはずっと何らかの形で月刊連載を続けられていますが、今後やってみたい事とかはありますか。

法田 淡々とした話とかシリアスな話とかをやってみたいと思うことはありますね。

編集 山なし落ちなしとか。

法田 難しいですよね。あとは趣味丸出しなものとか。

編集 鉄道模型(※16)ですか?

法田 ハンダがうまくくっつかないとか、ノコギリがまっすぐ引けないとか?(笑) でも読者の需要と離れた所でマンガを描いても…ってのはありますよね。Webコミックとか同人誌でやるならいいですけど。

編集 法田さんの鉄道模型にかける情熱は私が見ていると尋常じゃないように見えます。何らかの形でお仕事に生かそうとは思われないでしょうか。

法田 それほどのものじゃ(笑) ただ鉄道模型は趣味で、マンガは仕事なんで、それを融合させちゃうってのが果たして正しいのかは悩みます。別々にしておいた方がいいんじゃなかろうかと。

編集 いずれにしてもメンズヤングでの新連載はお願いしてますので。そちらはどんなモノになりそうですか。

法田 まあ、まだ予定ですけど…またどっかの大学が舞台になるのかなあ。

編集 どんなイメージですか。

法田 面白おかしい学生生活とか…イナカナと同じですね。学生の理想郷とかそんな感じを。

編集 理想郷ですか。

法田 そんなもの作ると誰も卒業しなくなっちゃうかな。

編集 しなくなりますね。

法田 そうすると最終回は、夢から目覚めるなんてホロ苦い落ちで。

編集 え〜(笑)

法田 そんな感じかな、くらいにしておいて下さい。

編集 冗談じゃなく新連載は春頃を予定しています(※17)ので、よろしくお願いします。

法田 こちらこそよろしくお願いします。

編集 最後になりますが、今まで読んで下さった読者に、これからも読んで下さる読者に何か一言を。

法田 えー、本当にありがたいことでございます。これからもよろしくお願いします。実際、描いていて自分で面白いと思うモノを、読者の方にも面白いと思っていただけるのは嬉しいですよね。

編集 リサーチを重ねて作品を作るというやり方もありますが。

法田 それはそれでいいと思いますが、リサーチのやり過ぎで訳のわからんものになる場合だってありますから。どっちもどっちですよね。

編集 これからも面白い作品を期待しています。どうもありがとうございました。

法田 ありがとうございました。


  • ※1 一水社発行の伝説的成年コミック誌。
  • ※2 多くの成年コミック誌を制作していた編集プロダクション。
  • ※3 選択肢を頼りに読み進めていくゲームブック。ロールプレイングゲームの活字版。
  • ※4 遠山企画が編集を請け負っていた雑誌たち。今は鬼籍に入っています…。
  • ※5 「究極超人あ〜る」「機動警察パトレイバー」いずれもゆうきまさみ作。小学館発行。
  • ※6 リイド社の「COMIC MIGHTY」と「Comicボナンザ」で連載された。
  • ※7 「ヤングキング増刊 アワーズ」のこと(当時)。
  • ※8 実業之日本社発行の月刊誌「comicキャンドール 」のこと。
  • ※9 ここで言う「営業活動」とは持ち込み・売り込みのこと。
  • ※10 講談社発行の日本を代表する少女マンガ誌。
  • ※11 小学館発行の日本を代表する少女マンガ誌。
  • ※12 高橋亮子作。小学館発行。少女コミックで連載されていた。
  • ※13 漫画研究会の略称。マンガ好きの人が集まるサークル。法田先生は千葉大の漫研出身。
  • ※14 河あきら作。集英社発行。別冊マーガレットで連載されていた。
  • ※15 実業之日本社より「ボクのアダルトヴィーナス」が発売中。
  • ※16 車両まで自作してジオラマにレールを通す。実物を見ると圧倒されます。
  • ※17 来春スタート予定。その前に読み切りも掲載されます。

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最終更新2005.09.12
 
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